GID Link 代表 プロフィール

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GID Link 代表:椎太 信(しいた のぶ)
1970年生まれ FTM当事者
福岡県研修講師団講師
添乗員を経て、旅行会社を経営。その後、旅行業を廃業し以前より興味のあった精神世界を学び始める。心の癒しの必要性を感じ、コーチング、カウンセリングや心理学、セラピーの勉強をし、アメリカでヒーリングの資格を取得。
現在はセミナーやカウンセリング、セラピーを現職とする。

 皆さん、はじめまして。
僕が生まれた時代は「性同一性障害」という言葉すらない時代だったので、自分は頭がおかしいと思っていました。

 幼少期はお◯ん◯んは、「いつか生えてくる」と信じていました。幼稚園のスカートの制服、赤いランドセルなどが嫌で嫌でたまりませんでした。自分は頭がおかしいから「絶対人に知られてはいけない」と思い、なんとか我慢して生活していました。
 中学生になると制服や2次性徴による月経や胸の膨らみなど耐え難い事が更に増えます。この頃からいじめや嫌がらせが始まります。僕の場合、幸か不幸か私立の中高一貫の女子校に通っていました。力は全校生徒の中でも1番強かったので、表立ってのいじめはありませんでした。しかし、かばんや靴を隠されたりの嫌がらせはしょっちゅうでしたが、共学の子に比べるとまだマシだったと思います。

 高校生位になると、このまま一生自分を隠して生きていかなければならないのか?それならなんのために生まれてきたのか?死んだ方がマシなんじゃないか?色んなことを考える毎日でした。

 初めての仕事は添乗員と言う仕事でした。仕事内容は大好きだったのですが、自分を偽って生活することへのストレスが募っていきます。 そんな頃、TVで上岡龍太郎さんの「50人に聞きました」と言う番組で、僕のような人が世の中にたくさんいる事を知り、「僕は頭がおかしいんじゃなかったんだ」と、とても嬉しかったのを鮮明に覚えています。
 その反面自分を隠して生きていくことに限界を感じ始めました。添乗員を辞め、居酒屋で板前や、掃除屋、クリーニング屋、ガソリンスタンド、引越し作業員、弁当屋、営業職など色々な仕事に就きました。幸いどの職場でも認めて頂き、教育係りのような立場にいました。社員になれと言ってくださる企業もいくつかありました。しかし僕がFTMということがバレ「そんな特殊な人はちょっと…」とクビになるのです。

 就職活動をしても、見かけは男なのに、女子校出身。それだけで中々仕事も決まりません。やはり女を演じて生きていくしかないんだと、あきらめかけた頃、「そんなコソコソするなら、女を好きになる資格はない。信は信やろ?もっと自分に自信もちーよ、性別なんか関係ない」と当時付き合っていた彼女に言われました。その時「あー、世の中にはこんな考え方の人もいるんだ。そうだ僕は別に悪い事をしているわけじゃない。もう、隠すのはやめよう!」と思い、カミングアウトを決めました。

 僕が、生きてきた時代は「性同一性障害」という言葉もなく、相談できる人もいませんでした。
 今は法律もでき特定の条件をクリアすれば、性別を変更することが出来る。そして、「知ろう」としてくださる方も増えてきました。しかし、そんな時代になっているにも関わらず子供達の悩みが、僕が悩んでいた数十年前の時代と何ひとつ変わっていない。衝撃を受けました……。このままじゃいけない。大人である僕たちが伝えていかないといけないんじゃないか?それが、僕が活動を始めたきっかけです。

 2011年頃から社)gid.jp 日本性同一性障害と共に生きる人々の会 中国・九州支部の交流会に参加するようになり、お手伝いを始めました。2012年、中国支部と九州支部がそれぞれ独立するのをきっかけに、2013年九州支部長に就任致しました。2016年末まで支部長として活動をする中で、「知る」事の大切さを痛感しています。しかし、基礎的な話を聞ける場がほとんどありません。「知らない」事が差別、偏見、いじめに繋がる。だから1人でも多くの方に正しい知識を伝えていく事が大切ではないか?それなら、定期的に同じ場所で基礎的な話を聞ける場を作りたい。カミングアウトしたくてもなんと言っていいのか分からない方。家族や友人にカミングアウトされたけどどうしたらいいのか分からない方。生徒、同僚にカミングアウトされたけどどう対応したらいいか分からない、そんな方達が、「ここに行けば、基礎的な話を聞けるらしいよ」と言うような場があればいいなぁ。と思い、2016年自助団体GID Linkを立ち上げ定期講演会・交流会を開催することにしました。

 最終的には、セクシャルマイノリティの全ての人たちが周りの人達に気を使うことなく、また、周りの人達も僕らに気を使わない・・・。そして当事者が権利を主張することなく、自分らしく普通に暮らし、お互いに当たり前に受け入れあう世の中になればいいなぁと思います。そして、僕らのような団体が活動する必要がない世の中になれば嬉しいです。